「返す」という言葉の頭にどの文字が来るかで、
ニュアンスが変わってくる。
「し」を頭に付けると、
「しかえし」
「仕返し」になる。
「仕返し」は、不当な行為をされた時に、
相手に同等かそれ以上で反応することである。
「報復する」「復讐する」という意味と同様である。
一方、「お」を頭に付けると、
「おかえし」
「お返し」になる。
「お返し」は、相手からの好意に対して、
気持ちや物やサービスで応えることである。
「返す」を丁寧にするのに「お」を頭に付けて、
名詞にするのに「お返し」という言葉ができた。
「仕返し」と「お返し」。
どちらも「相手から来たものを返す」というのは同じだが、
相手に対する気持ちが雲泥の差である。
人間関係がうまくいかず、
仕返ししたい気持ちになることは、人間誰しもがあるだろう。
それでも、同じ「返す」のであれば、
「仕返し」ではなく、「お返し」を選ぶようにしたい。