【短編小説】とんがりコーン


※この記事は物語を書いています。


【登場人物】

•ほわ:普段はほんわかした性格であり、時にはネガティブになることもある。パートナーのぽじの斜め上をいった言動に困惑したり反発することもある。


•ぽじ:ほわのパートナー。楽観的な性格で、物事をポジティブに解釈する。言動がぶっとんでるように思えることも多いが、実は、緻密な考察をしているのかも?



【タイトル】とんがりコーン

ほわ「あれ?!とんがりコーンじゃん!」

ぽじ「そうそう!スーパーで見かけて、
食べたいと思って買ってきたんだよ。」

ほわ「いいね!さっそく食べようよ。」

ぽじ「うん。」

ほわ「うわー、懐かしい。
小さい頃はよく食べてたんだよね。」

ぽじ「小さい頃、とんがりコーンを
よく指にはめたりしなかった?」

ほわ「ああ!よくやってたわ!」

ぽじ「でしょ!こんなふうに自分の指に
はまるの探して・・・。
あれ、なかなか自分のサイズに合うのが
ないなぁ・・・。
あった!ほら、ピッタリでしょ。」

ほわ「ね!いい感じの形を探すの楽しいよね。」

ぽじ「一番難しいのが親指でさ。
なかなか合うサイズないから、
少しぶかぶかでもいいやって
妥協して、はめてたわ。」

ほわ(とんがりコーンで無邪気に
遊んでいる ぽじ、可愛らしいな。)

ほわ「私もやってみる!
サイズ合うコーンあるかなー。」

ぽじ「・・・・・。」

ほわ(あれ、いつもみたいに、
ぽじの斜め上をいったような
ぶっとんだこと言ってこないな。

“カニを食うと静かになる”って言葉が
あるように、
とんがりコーンに集中しているから、
口数少ないのかな?)

ぽじ「やっぱり親指のがなかったか。
これがあれば全部の指
コンプリートだったのにな。」

ほわ「惜しかったね。
私は中指と薬指に合うコーンがあったよ。」

ぽじ「たしかにはまってるけど、
もっとピッタリなのがあるはずだよ。」

ほわ「ぽじ は完璧を求めてるのかな?」

ぽじ「安心して。ピッタリのコーンが見つかるまで、
とんがりコーンまた買ってくるから。」

ほわ「どんだけ、とんがりコーン好きなのよ!
これでも十分ピッタリでしょ。」

ぽじ「いや、それだと簡単にコーンがとれてしまう。
はめたら簡単には外れないコーンを一緒に探そう。」

ほわ「んなもんあるわけないでしょ!
今日はぶっとんだこと言ってこなくて
良かったと思ったてたのに。
どこでエンジンがかかったのよ!」

ぽじ「たしかに、無理に指にはめこむと
コーンが砕けてしまうし、
優しくはめてもすぐに外れてしまう。

そんなものないと誰もが
思うかもしれない。

それでも、指に装着するような、
その指のために生まれたような、
そんなコーンを手に入れたいんだ!」

ほわ「なんか、壮大な夢を語っている
ようだけど。

とんがりコーンの話だよね?」

ぽじ「子どもの頃、お小遣いをもらって、
その中でほしいものを買っていた。

高価なものは、自分のお小遣いでは
到底買えるものではなかった。

でも、工夫することはできる。

ネックレスを付けてみたくて、
お花を摘んで首飾りを作ってみたり。

ネックレスとは全然違うって、
子ども心にわかってはいるけど、
それでも、お花の首飾りで
嬉しい気持ちになったんだ。」

ほわ「お花の首飾りの思い出が、
とんがりコーンと
どう結びつくっていうのよ?」

ぽじ「それから、大人になって、
子どもでは買えなかったものを
買えるようになった。

そうすると、お花の首飾りで
喜んでいた子どもの頃の
気持ちを忘れてしまっていた。

スーパーでとんがりコーンをみた時、
子どもの頃に喜んで指にはめたことを
思い出したんだ。

そして、子どもの頃にネックレスが
ほしいと思っていたけど、
今は指輪がほしいってことに
気がついたんだ。

ほわの薬指にピッタリはまって、
ほわに似合うコーンは
たしかに無いかもしれない。

でも、大人になった今は
指輪を買うことができる。

とんがりコーンとちがって
高い買い物になるけど、
俺ら2人のそばに寄り添う
指輪を一緒に探してほしい。

「俺ら2人のそば」って言ったのは、
ほわの指にはめる指輪だけど、
俺がほわのそばにずっといるからね。」

ほわ「えっ?!それって、まさか•••。」

ぽじ「2人の生活は、とんがりコーンみたいに
砕けることはないから安心してね。」

ほわ「ありがとう。
でも、とんがりコーンじゃなくて、
ポテコを買った方が、
指輪っぽくて良かったんじゃないの?」

ぽじ「ポテコだと、俺が指輪を探してるって、
ほわにバレてしまうだろ?」

ほわ「いや、ポテコだったとしても、
この展開は誰もわからないって(笑)。」

ほわ(こんなプロポーズのしかたがあっただなんて!)


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