お茶というのは実はカラフルな飲み物である。
「茶」は色を表す名称でありながら、お茶の「飲み物」も表現できる。
たくさんの色がある中で、「色の名称=他の意味をもつ」というのは、「茶」だけかもしれない。
「お茶」が色の名称の市民権を獲得した唯一の言葉なのか?
ところで、お茶にもいろいろな種類がある。
ほうじ茶、緑茶、麦茶、玄米茶、烏龍茶など。
お茶の中で「緑茶」は何とも趣深い名前である。
よく見ると、「緑」と「茶」の2つがある。
しかも、過不足なく、ただ2つの色を並べた名前が緑茶である。
これは、「緑色をしたお茶」ということになるだろうが、緑茶は2つの色を並べて完成される言葉である。
緑茶は身近な飲み物だが、こうして言葉について掘り下げると、色の名前で表現できる貴重な存在に思えてくるだろう。
お茶を飲む時、緑茶を飲む時、色の名前を意識すると、いつもよりも嬉しい気持ちになれるかもしれない。