※この記事では物語を書いています。
※「【短編小説】サイコロ遊び(後編)」はこちら。
【登場人物】
ほわ:普段はほんわかした性格であり、時にはネガティブになることもある。パートナーのぽじの斜め上をいった言動に困惑したり反発することもある。
ぽじ:ほわのパートナー。楽観的な性格で、物事をポジティブに解釈する。言動がぶっとんでるように思えることも多いが、実は、緻密な考察をしているのかも?
【短編小説】サイコロ遊び
1、サイコロを見つける
ほわ「消しゴムどこだっけ?」
ぽじ「そこの台の上だよ。」
ほわ「ありがとう。
あれ、このサイコロどうしたの?」
ぽじ「この前実家帰ったらあったから持ってきたんだよ。」
ほわ「へぇ。実家にサイコロあるんだね。」
ぽじ「小さい頃に遊んでたボードゲームがあるんだけど、
その付属のサイコロだけが、
なぜか押入れから出てきたんだよね。」
ほわ「わかる!おもちゃの部品だけとか、
こんなところにあったってことあるよね。」
ぽじ「サイコロ持ってきたものの、
これだけあっても遊ぶようがないね。」
ほわ「自分ですごろく作ってみたらおもしろいんじゃない?」
ぽじ「カレンダーの裏にでも書いてみようかなー。」
2、「1」の目が縁起良さそう。
ほわ「このサイコロの1の目、赤と黒が混じったような色してるよ。」
ぽじ「どれどれ…。真っ黒にしたはずだったんだけど、
黒が取れちゃったんだろうなぁ。」
ほわ「え?!これって、ぽじが黒く塗ったの?」
ぽじ「そうなんだよ。1の目だけが赤くてさ。
他の目は全部黒だっていうのに。
サイコロの製造ミスだと思って、
赤の目を黒く塗ったのさ。」
ほわ「いや、製造ミスって(笑)。
1の目だけが赤い丸ってよくあるじゃん。」
ぽじ「1の目といえば、サイコロの中で1の目が
1番好きなんだよね。紅白まんじゅうみたいでさ。」
ほわ「紅白まんじゅうって、どういうこと?」
ぽじ「ほら、1の面って、白い面に赤い丸があるでしょ。
四角い白いまんじゅうの上に、丸い赤いまんじゅうが
乗っている感じがしてさ。」
ほわ「そんな見方したことなかったな。」
ぽじ「紅白餅にも見えるさ。いずれにしても、
紅白ってお祝いごとに使われたりとか、
縁起が良さそうだよね。」
ほわ「言われてみると1の面は縁起良い感じするね。
このサイコロの1は白黒っぽいけど。」
3、ちゃぶ台返し
ぽじ「あっちの大きい方は、
サイコロ振るのに苦労したよ。」
ほわ「ん?・・・って、
テーブルひっくり返して何やってるの?!」
ぽじ「いや、テーブルをサイコロに見立ててみると、
“ひっくり返す”じゃなくて“サイコロ振る”って感じだよ。」
ほわ「言い方の問題じゃなくて、
これじゃあ、ご飯食べれないじゃん!」
ぽじ「まぁ、ちゃぶ台返しって言うから、
ひっくり返すって方がしっくりくるかもね。」
ほわ「どうでもいいからテーブル持ち上げるから、
そっち持ってよ!」
ぽじ「テーブルをご飯乗せる台と見れば
元に戻さないと不便だ。
でも、サイコロのように考えれば、
違う目が出ているようなもので、
これはこれで違う一面を見せたテーブルなんだよ。」
ほわ「はぁ?!さっきから何を訳のわからないこと言ってんの?
戻す気ないんなら、もう二度とここでご飯食わないからいいよ!
1人でこのテーブルで遊んでれば?!」
(後編に続く)
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